* あめ

きみといっしょに濡れた雨の日が、はじまりではなくおわりだったんだ。
そういえば、きみのかおを、ちゃんと見ていなかった。きみのタバコの煙は、雨の匂いに消されて、なんにも残っていなかった。
すべては、雨の日に、置いてきてしまった。
記憶にあるのは、あの日のわたしが、映画の主人公だったという、ことだけだった。
そう、あの日で、すべて終わっていたのだ。